2014年1月11日土曜日

第2章~第3章(ネイガウスのピアノ講義)

●出典:『ネイガウスのピアノ講義』

  第2章 音楽とはなにか
  第3章 演奏するということ


●感想(青字は抜書き)

この二つの章はともにインタビューの形なので、ネイガウスの生の声が聞けて興味深い。それぞれ「音楽とはなにか」、「演奏すること」というタイトルになっているが、内容的には、第2章はほとんどネイガウスの音楽面での半生記、第3章は練習方法などに関する経験談が主である。

何しろ、第一次世界大戦やロシア革命などの時代にロシア(ソ連)やヨーロッパで活動した人なので、いろいろと興味深い話、波乱万丈の話もあって、読み物としては面白い。


ちなみに、リヒテルやギレリスを育てた名伯楽として有名なネイガウスであるが、親戚にシマノフスキーがいて親しかったようだ。また、スタニスラフ・ブーニンは孫である。


高度な話が多いので、直接参考(ピアノの練習・勉強)になることはあまりなかったのだが、2つだけ…。


一つは、スランプの時期の練習方法。


まずひとつひとつの音をとることから始め、次に3音、5音、次にオクターブ、アルペッジョ、トリル、重音等々と学んでいきました。全てを方法論に従って弾いていったのです。するとそこは、技術の問題だけの場ではなくなりました。頭の活動の場が生じてきました…。そしてこれは私に大きな益をもたらしたのです。


もう一つは、ピアノを弾くことについて。


ピアノで弾くこと―これはごく個人的で、一見狭い範囲のことのように思われます。…しかし限られたことの中に、現実についての認識があります。たとえば、自身の器官(手や指)の構造や生理学、楽器を理解すること…があります。そしてこのことは、私にとって大きな哲学的思考や、自然を認識すること、私が読んでいる書物、人類の本質についての想い…などと、全て結びついています。


前者は、技術を極めていくことから表現にいたるプロセスを考えさせられる。後者は、ピアノを弾くことの奥深さを感じさせる。(理解できるかどうかは別として)



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